「大好きな『食』を通じて地域に関わる」
地域に自分らしい居場所を
「地域活動に興味を持ったきっかけは、コロナ禍の影響でライフスタイルが変わったことでした。以前は仕事が忙しく、住んでいる地域に関わる余裕はありませんでした。しかし仕事が在宅中心に切り替わったことで、地域とのつながり、自分の居場所がほしいと考えるようになりました」
そう話すのは、現在食育推進ボランティアとして活動する田辺明代さん。数ある「すぎなみ地域大学」の講座の中から「食育推進ボランティア講座」を選んだのは、「食」というテーマにもともと興味があったからだそうです。「食育推進ボランティア講座」は現在、畑が併設される井草のすぎのこ農園で開催されています。講座では出汁の飲み比べなど実演形式の回もあり、興味深く学ぶことができたそうです。「他の受講生に毎回会えることも楽しみの一つでした」と田辺さんは話します。
講座修了後、田辺さんはボランティアとして登録し、活動を開始します。2022年には食育推進の委員にも任命されました。活動内容は月に1度の会合への出席や、農家・青果店などを通じて区民向けに配布する野菜レシピ作りのための調理実習の企画・準備など。また、食事に関する講座の内容決めなど、食育の促進に携わる活動を続けています。仕事と両立しながらの活動ですが、周りの人たちの理解や協力もあり、活動はとても続けやすいそうです。
「委員会は仕事の都合で前半のみ出席するなど便宜を図っていただいています。主催の杉並保健所のみなさんにも配慮していただき、活動を続けやすい環境です。ありがたいですね」
新しい挑戦で、日々が楽しく変わった
食育推進ボランティアには、田辺さんと同様に「食」に深い興味を持つ人が集まってきます。そのような仲間と交流できることは、活動の醍醐味だそうです。
「たとえば、活動の中で他のメンバーからさらっと『干し椎茸を家で作る』などの話題が出たりします。干し椎茸を買ったことはありますが、自分で干したことはありませんでした。家で乾物を作れるということを教えてもらい、自分でも作るようになりました。食に興味を持ち、日常的に気をつけている人たちと一緒に活動できることは、大きな刺激になっています」
食育推進ボランティアの活動は、コロナ禍の影響もあり、現在は勉強会などの活動が中心です。田辺さんは今後区民向けの調理実習などにも携わってみたいそうです。
自分と近い興味を持つ人たちの中に居場所ができた田辺さん。活動を始めたことで、日常が変わっていったと話します。
「よく知らない講座を受けることは、勇気がいるかもしれません。でも一度『えいっ』と飛び込んでみると、思いもよらない発見があります。いろいろな人との出会いがあり、日々が少しずつ、楽しい方向に変わっていくと思います」
「何か変えてみたいなら、やってみないと変わらない」と話す田辺さん。今後も興味を生かしながら、地域での活動を続けていくそうです。
「向陽中学校の茄子」
田辺さんは、食育推進ボランティアの活動の一環として、向陽中学校の畑で野菜作りをしています。グラウンドの裏に、茄子、ピーマン、ネギなどの野菜が植えられています。