「英語力よりも、学校の先生とのコミュニケーション力が大事」
役割は英語を聞かせること
小学校で必修化した「外国語科」。杉並区には児童に教員とともに英語の指導をする地域人材がいます。そんな「日本人英語指導助手(以下JTE)」の一人として活動するのが、清水有美子さんです。
「小学校で外国語科を学習するのは、5~6年生の児童です。外国語科の授業は、担任の先生と協働のティームティーチングによって進んでいきます。担任の先生が主に授業を進め、JTEは助手の役割です。
わたしは、区内の小学校の一学年を担当し、週に2回学校に通っています。JTEは基本的に英語で指導します。英語で指示を出し、単語の発音や基本的なフレーズなどの練習をします」
授業では児童にたくさん英語を発話させて、コミュニケーションから英語に親しませるのがJTEの役割だそうです。
「小学校英語は子どもたちがはじめて英語を学習する機会です。あまりに簡単すぎると子どもたちは飽きてしまいますし、難しいと嫌いになってしまいます。そのバランスが難しいけれど、おもしろいんです」
地域のネットワークが広がりました
清水さんは、2009年にすぎなみ地域大学で、「小学校英語活動サポーター講座」(現在の「日本人英語指導助手養成講座」)を受講しました。
「自分の子どもは、杉並区の小学校に通い、いろいろな方にお世話になりながら楽しい学校生活を送りました。私自身も保護者として小学校に関わる中で、先生方が日々大変な思いをされながら、熱意をもって子どもたちに向き合っていることを知りました。
そこで、先生方や、小学校という場所に少しでも恩返しができないかと思ったんです。私は帰国子女で、英語を話すことができました。自分の力を活かして活動するときに、JTEは理想の活動だと感じました」
その思いは変わらず、現在も小学校の先生と密に連携を取りながら授業を進めています。
「JTEには、もちろんある程度の英語力が必要ですが、一番大切なのは、担任の先生と連携をとるコミュニケーション力です。授業を円滑に進めるうえで、先生と信頼関係を築くことは、とても大切です」
いかに担任の先生と同じ目線で児童に向き合えるか。いつもそのことを一番に考えているといいます。
「この活動をはじめて10年になりますが、夏休みなどで子どもたちに会えない時間が続くと、とても寂しく感じます。子どもたちとのコミュニケーションはとても楽しく、週2回の授業は私にとって本当に大切なひとときです」
近隣の知り合いが増えたことも、うれしいことの一つだといいます。
「学校の近くを歩いていると、子どもや保護者の方から『清水先生!』と声をかけられます。学校での活動を始めたことで、地域でのネットワークがぐんと広がりました。この活動を始めて、本当によかったです」
地域のコミュニティに囲まれながら、これからも清水さんの活動が続いていきます。
清水さんの「わたしの事前準備」
「同じ教材を使用しているのに、クラスによって反応が違うんです」と清水さん。子どもたちの個性やクラスのカラーが違うので、それに合わせて、より子どもたちが理解できるように工夫しています。大変ですが、子どもたちとの時間は充実しています。