「講座をきっかけに始めた活動で、人にやさしくなれた」
3つの小学校からの電話
杉並区の小学校は、先生以外にもさまざまな人の活動に支えられています。丹羽春奈さんが務める「学校介助員ボランティア」もその中のひとつです。学校介助員ボランティアは、小学校の授業等に同席し、学習や生活上の配慮が必要な児童のサポートを行う活動です。
「自分の子どもが子供園に入園したことをきっかけに、子どもの発達について興味を持つようになりました。『すぎなみ地域大学』の『学校介助員ボランティア講座』を受講したのは、杉並区で活動する森山徹先生(むさしの発達支援センター)の講義を聞きたかったからです。講座の最後に、軽い気持ちでボランティアに登録したら、その後3つの小学校から、『サポートに来てほしい』とすぐに電話がありました。本当に人が足りていないことを実感し、せっかくなのでできるところまでやってみようと思いました」
丹羽さんは、現在2つの小学校を担当しています。週2回、午前中のみの活動です。現場では学校やそのときいる児童に応じて、柔軟な対応が求められます。
「一緒に授業に参加して、工作などのサポートをしたり、朝の準備の声がけや、体育のときの移動の見守りをしたりすることもあります。とにかく重要なのは、事故などが起こらないようにすること。低学年だと教室から出て行ってしまう子もいるので、危険がないよう指導や見守りをしています」
「もうちょっとやってみよう」の日々
結婚・出産後は、特に仕事や地域活動はしてこなかったという丹羽さん。初めての活動は、試行錯誤の連続だそうです。
「活動は悩むことばかりです。良かれと思ってやったことが、子どもに受け入れられなくて、ショックを受けたこともあります。それでも、最初言うことを聞いてくれなかった子と気持ちが通じ合ったり、以前できなかったことが、次会うときはできるようになったり。そういう小さな感動や喜びの積み重ねで、『もうちょっとやってみよう』の気持ちが続いて、今に至っています」
少しずつ続けてきた活動から、丹羽さん自身にも変化が生まれたそうです。
「子どもと接する中で、乱暴なことを言う子が、不意にやさしいことを言ったりする、そういう場面に何度も出会いました。その経験から、ちょっと苦手だなと思った人でも、きっと自分が知らないだけで、良い面があるんだろうなと思えるようになりました。この活動を始めてから、人にやさしくなれた気がしますね」
ご自身の経験からも「活動を始めるのに、ちゃんとした準備なんて必要ない」と丹羽さんは話します。「自分の生活とまったく違うコミュニティでの経験は、きっと大きな学びになります」と、これから活動を始める人を後押ししています。
丹羽さんが活動する「東田小学校」
東田小学校の太田垣泰子副校長は、「低学年では特に、ちょっとしたトラブルで授業が中断するときがあります。教室で何かあったときの安全見守りも大事な役割。学校介助員ボランティアにいていただくと、本当に助かります」と話します。