ボランティア・地域活動ってなに?杉並で活動するみなさんにお話を聞きました。 ボランティア・地域活動ってなに?杉並で活動するみなさんにお話を聞きました。
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「猫を通じて、地域とのつながりをつくる」

杉並どうぶつ相談員
川上 愛さん

一匹の猫から始まった活動

 「以前住んでいたマンションの窓から、隣の家の屋根に野良猫がいるのが見えたんです。猫は雨の日も雪の日も毎日そこにいて、一体どうやって生きているんだろうと思いました。その猫のことが気になり、いろいろ調べて『杉並どうぶつ相談員』に行き当たりました。それが、私がこの活動について知ったきっかけです」
 川上愛さんは、2019年に「すぎなみ地域大学」を受講し、現在は「杉並どうぶつ相談員」として活動しています。杉並保健所から委嘱を受けて活動するボランティアです。
 「どうぶつ相談員は、犬班、猫班、災害対策班などの班に分かれています。猫班の主な活動は、飼い主のいない猫の問題解決に向けた活動の、普及啓発及びそのフォローです。地域の方から『近所に野良猫がいる』などの連絡が来たら、猫班の出番です。猫は不妊去勢手術をしないと、あっという間に増えてしまいます。私たちは連絡を受けると現地を訪ね、猫を捕まえて、手術を受けさせ、また地域に戻す活動のレクチャーとフォローをしています。こうした一連の活動は『TNR活動』と言われ、全国的に広がっています。地域の糞尿被害などを抑え、猫の殺処分を防ぐためにも必要な活動なんです」
 地域で猫に向き合い、猫の対処をすることはもちろん、地域の方にTNR活動について理解してもらうことも重要な役割だと、川上さんは話します。
 「私たちの活動の目的は、飼い主のいない猫を減らすことです。地域に住む猫は地域全体の問題で、解決には地域の皆さんによる対処が不可欠です。猫の手術には杉並区から助成金が出ますが、一部は地域の方の自己負担となることもあります。住民のみなさんにご理解いただくことが大事なので、私たち相談員が丁寧にお話しし、サポートをします」


川上 愛さん

自分にとって「楽しい」から続く

 川上さんは、これまで地域活動をしたことがありませんでした。ですが現在はフルタイムの仕事の合間を縫い、できる限り時間を作って相談員の活動を続けています。そのモチベーションの根源には、活動のやりがいがあると言います。
 「一番うれしいのは、相談者の方の意識が変わったときです。最初は協力に難色を示された方が、最終的に地域にいた猫を家で飼うことにしたと教えてくれたときは、本当に感動しました」
 忙しくも、自分が打ち込める地域活動に出会った川上さん。自分に合った活動を探すヒントは「自分にとって楽しいこと」と話します。
 「自分が楽しくないと精神が持たないし、続かないと思うんです。私は杉並区に10年以上住んでいますが、この活動に出会って初めて同じ地域に住む人とつながりが生まれました。悩むこともありますが、一緒に悩める仲間に出会えたことは心強いです。これからも楽しみながら、活動を続けていきたいです」


いまは川上さんと暮らす「すずらん」

 活動のきっかけとなった屋根の上の猫は、その後川上さんたちが徹夜で捕獲し、川上家の猫になりました。すずらん通り商店街にいたので、名前は「すずらん」。お腹をなでられることが大好きです。

いまは川上さんと暮らす「すずらん」
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